ドローンを活用した様々な用途提案を始めます。

ドローンを活用した様々な用途提案を始めます。

お客様のニーズと市場の動向

お客様のニーズと市場動向について語る社長

建設業における現状としては、労働者の高齢化や作業員の不足、技能継承のための人材育成の難しさ、建設業界全体の労働環境の変化や働き方改革の実施など、人の要因による課題と材料価格高騰により工事計画の延期や予算の見直しなど建設関連全体の需要低下の課題が続いています。​

一方、既存建築物・構造物の外壁改修や屋上防水の改修、公共建物の長寿命化改修工事の計画が多く見られ、既存建物の老朽化の状態を的確に把握し、状態に適した提案を行うことが重要となっています。​

住宅や土木においても同様で、ひび割れや劣化状態を調査確認し改善策を検討していくことは必要不可欠です。手の届く所や寸法が測定できる所は点検・確認が出来ますが、人が近づけない高所や目視出来ない壁の裏側などを調査するためには、足場を設置したり作業車を配備したりと費用と時間が掛かり容易に行うことができません。​

弊社においても、商品を取り付ける壁、屋上や屋根の状況が把握できないと、精度の高い見積りや的確な計画を提案することができず、施工段階で急な変更や不備に繋がってしまう可能性があります​

それ故に、既存建物や構造物の状態を事前に把握することは極めて重要な課題と言えます。

​近年、大手建設業者の現場では無人航空機を活用しての測量・管理・点検が行われつつあり、弊社でも興味深く注目しているところです。

お客様のニーズと市場動向について語る社長

ドローンにかける思い

ドローンにかける思いについて語る社長

弊社は金属を主とした商品を幅広く扱っており、打合せから実測調査・図面設計・製作・現場施工まで、一貫した施工体制で管理/運営しております。

お客様のご要望を最大限に実現し、きめ細やかな仕上げにこだわり、安全性に配慮した商品を提供しております。​

国内で徐々に活用が注目されているドローンですが、奈良県下の中小業者においては、未だ活路が開かれていないように感じています。​

そこで弊社ではいち早くドローンを導入し、既存建築物・構造物の改修工事が増加傾向である今こそ、建設業者様や土木業者様、工務店様に対して、現場における調査・点検の新しい取り組みでの作業効率を提案/提供していきたいと考えています。

活用されている分野

現在、ドローンにより活用されている分野を分野別、業務別に一覧表に纏めてみました。弊社が業務内容として携わっている点検や測量、また業種においては、建設業や設備業で多くの用途に活用されていることが伺えます。

分野活用内容
点検屋根・壁の点検、プラント等設備の点検、天井裏・床下・配管内の狭小場所の点検
測量距離、面積、体積、高低差の測量
文化財保全現状の撮影と測量による記録、遺跡調査撮影
運搬高所や遠隔場所への小運搬、山岳地域での運搬、医療機材の輸送
農業農薬散布、育成状況の確認
防災・災害・警備土砂崩れ等の点検による防災活動、災害時上空からの被害状況確認調査
土砂崩れ状況の確認と体積測量
写真・映像空中撮影
活用されている分野
業種活用内容
建設業/土木業・現場調査において、屋根、壁、設備の構造物点検と測量
・橋梁点検、河川流域・ダムの点検調査
・天井裏や床下、配管設備内部の点検調査、測定
・高所や遠隔場所への小運搬
・建設現場進捗状況の確認と安全確認
・設備点検
・土地・建物等の不動産測量
・盛り土、切り土、土砂の体積測量
林業苗木の運搬、農薬散布、育成状況の確認
農業農薬散布、肥料散布、育成状況の確認、獣害対策
設備業工場・プラント設備点検
電気送電線・鉄塔点検
輸送業物資輸送、宅配デリバリーサービス
倉庫倉庫内商品管理
通信業アンテナ基地点検
警備犯罪抑止、監視
消防災害救助、捜索、物資輸送
不動産業土地・建物等の不動産測量
写真・映像空中撮影
業種別活用分野

実証調査

弊社を取り巻く業界においては、上記のような様々な活用が見込まれてはおりますが、実際のところ弊社の業務にどこまで利活用できるのかを、自分の目で見て触って確かめることは非常に重要だと思います。

そこで、弊社では産業用ドローンをはじめとした関連設備の導入や操作に必要なライセンスの習得、損害保険の加入などを行い、いくつかの試験飛行を実施しました。

【1】弊社本社工場の周辺調査

弊社本社工場の上空でドローンを飛行させ、産業用ドローン「DJI Mavic3Enterprise」を使用し、どのようなデータが得られるかを確認してみました。

今回、高度30mの上空からワイドカメラで、地上解像度(GSD)1.025cm/pxの設定で66枚の写真を撮影し、解析ソフト「DJI Terra」を用いて処理した空中三角測量の点群データからオルソ画像、3Dモデルを構築しました。

※オルソ画像:写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換したものです。(引用元:国土地理院のホームページより抜粋)

空中三角測量(1:43)
3Dモデル(1:31)

約480㎡を44秒で飛行撮影を終えることが出来ましたので、屋根の上に登って採寸することを思えば、短時間でかつ安全に作業を終えることが出来るので、活用の意義はあるように感じました。

気になる結果ですが、対象となる物件がはっきりと確認でき、測量結果も水平距離、垂直距離、斜距離、面積、体積と計測することができました。3Dモデル構築までの所要時間は17分37秒で、写真1枚あたりに換算すると約16秒で構築が完了しました。

これくらいの時間だとその場で構築し、実際に見てもらいながら打ち合わせを進めることができそうな時間ですね。

※弊社機材:Intel Core Ultra7, NVIDIA GeForce RTX4070 での処理速度

※それぞれの画像はクリックすると拡大されます。

本社工場を上空から見た2次元モデル
弊社本社工場を上空から見た2次元モデル

空中三角測量と3Dモデルの動画より抜粋した画像

本社工場を上空から見た3次元モデル
①弊社本社工場を上空から見た3次元モデル
弊社本社工場を上空から見た3次元モデル(工場を拡大)
①弊社本社工場を上空から見た3次元モデル(工場を拡大)
本社工場を上空から見た3次元モデル
②弊社本社工場を上空から見た3次元モデル
本社工場を上空から見た3次元モデル(工場を拡大)
②弊社本社工場を上空から見た3次元モデル(工場を拡大)
3次元モデルによりスレート瓦の修繕箇所を発見
3次元モデルによりスレート瓦の修繕箇所を発見
修繕箇所の長さ計測
修繕箇所の長さ計測
修繕箇所の面積計測
修繕箇所の面積計測
修繕箇所の面積計測(拡大)
修繕箇所の面積計測(拡大)

【2】瓦屋根の点検

建物の瓦屋根の点検をドローンから撮影した画像で行いました。

撮影画像からは瓦のズレやひび割れ等の所見は確認できず良い状態で保たれているように見受けられます。

しかし、1か所だけ棟瓦の漆喰が剝がれて屋根の上に落ちているのが確認できます。

瓦屋根の点検(0:31)

※それぞれの画像はクリックすると拡大されます。

瓦屋根の全体画像
瓦屋根の全体画像
瓦屋根の詳細をチェック
瓦屋根の詳細をチェック
棟瓦の漆喰が剝がれ箇所
棟瓦の漆喰が剝がれ箇所

【撮影条件】

機体DJI Mavic3 Enterprise
天候
飛行高度20m
カメラ広角カメラ 4/3CMOS、焦点距離24㎜
望遠カメラ 1/2CMOS、焦点距離162㎜

【3】計測精度の検証

今回の検証は、RTK-GNSSなどの高精度の座標補正機材を使わずに、ドローンだけの簡易的な写真測量で実際の距離との誤差がどれくらいかを、確かめてみました。

目的は、簡易的なドローンの計測でどのくらいの精度があり、どのような用途くらいは使用できて、どのような用途では精度不足なのかを知る為です。

※RTK-GNSS:測りたい移動局(観測点)の他に位置のわかっている基準局を必要とする測位方式で、位置情報をリアルタイムに算定し移動局の測位を行います。精度は水平2~3cm、鉛直3~4cm程度となります。(引用元:国土交通省 九州地方整備局 i-Constructionのホームページより一部抜粋)

※それぞれの画像はクリックすると拡大されます。

計測4m
計測4m

【検証方法】

実際に巻き尺で測った位置に対空標識を配置し、ドローンによる写真測量の測点値との誤差を比較する

機体DJI Mavic3 Enterprise
飛行高度20m
地上解像度
(GSD)
0.48cm/px
検証条件

結果は、4mに対して4.02mで、誤差2cmという計測結果が出ました。

計測5m
計測5m
計測3m
計測3m

【4】空撮映像

ドローンと言えばお馴染みの空撮映像ということで、滋賀県の琵琶湖に赴き、琵琶湖大橋の周辺を上空から撮影してきました。

琵琶湖大橋の空撮映像(0:51)

また、空撮映像から360度パノラマ映像を作成することもできます。

画面上の画像をマウスでドラッグしてなぞると自由に映像を動かすことができます。

拡大
縮小
【】全画面

飛行実演会

取り扱いベンダーが主催する各種ドローンの飛行実演会(セミナー)に定期的に参加しています。飛行実演会では最新のドローンを確認することができますので、現状のドローン技術や活用範囲を知ることができます。

今回は、世界シェアNo1のドローンメーカーDJI社から物流/運搬を目的としたドローン『FlyCart30』が発売されたということで、お世話になっている株式会社旭テクノロジー様のフライト実演セミナーに参加させていただきました。

※それぞれの画像はクリックすると拡大されます。

FlyCart30の正面から
ドローンの正面から
FlyCart30の側面から
ドローンの側面から

『FlyCart30』は、4本のアームに計8枚のプロペラを搭載したマルチローター構成のドローンで、最大積載量30㎏時の最大飛行距離は16km、最大速度20m/Sの機体になります。緊急時には、内蔵のパラシュートを開くことで安全に着陸させることができるため、人や資産に対するリスクを軽減できます。

ドローンの本体の防塵・防水規格はIP55となっており、-20℃~45℃の環境温度と最大飛行高度は6,000メートルに対応し、過酷な気象条件下でも実力を発揮します。

FlyCart30の機体右側のウインチシステム
機体右側からウインチシステム

『FlyCart30』は、「貨物モード」と、「ウインチモード」という2種類のペイロード構成モードが搭載され、目的地の状態に応じて構成を変更することが可能です。

「貨物モード」はドローン下部にカーゴケース(最大容量70L)を取り付け運搬物を入れて配送します。

「ウインチモード」はドローンにウインチシステム(ケーブル最大長20m)を搭載し、紐で運搬物を吊り下げた状態で配送します。

※ペイロード構成モード:荷物の吊り下げ方のモード。「貨物モード」は箱に荷物を乗せて運搬するモード。「ウインチモード」はワイヤーで荷物を吊り下げて運搬するモード。

ウインチモード自動航行実演

今回の実演では、およそ20㎏の水が入った袋をウインチシステムで吊り上げ、元の荷下ろし位置まで飛行し、ウインチで荷下ろした後、吊りフックを外して、また元のルートで帰還する一連のミッションをすべて自動航行で行われました。あらかじめ黒い目印を置いた位置から離陸し、ミッションを終えて着陸した位置を見ると自動航行ですが、同じ目印位置に着陸していることがわかります。吊りフックも自動で外す事が出来るので、ホバリングしている機体や吊り荷の下に人が立ち入らずに荷受けが出来るので安全です。

ウインチモード自動航行ミッション(2:58)
吊り荷の安全性の実証

実際に見て驚いたのが、飛行中の吊り荷の揺れを検知し自動で機体の姿勢を調整し揺れを最小限に抑える機能により、吊り荷の安定性を確保することでした。実演では、故意に吊り荷を揺らして行われましたが、ホバリング状態から吊り荷が揺れる方向に自動で調整する動きをして、揺れを安定させました。これを手動で行うとすれば高い操縦技術と神経を使わないと出来ないと思います。

吊り荷の安定性の実証(2:19)

私の身近な建設業界においては、屋上への資材の小運搬やクレーン車が届かない広範囲の場所、クレーン車を設置出来ない敷地環境での活躍に期待を持っています。例えば、セメント袋25㎏や砂土のう袋、短尺材、小物をトン袋等に入れての運搬など、数回に分けての運搬になりますが、人手不足や作業員の高齢化の一助となり、さまざまに使える機会がありそうです。

導入設備

本事業を始めるにあたり導入した各種設備です。特にドローンは産業用として利用されている機種を導入しており、カメラも非常に高性能なものと搭載しております。

機器種類機種メーカー
ドローン(測量産業機械)Mavic3 Enterprise

【スペック】
・最大飛行速度:15m/s
・運用限界高度:6,000m
・最大飛行時間:45分
・広角カメラ:4/3インチCMOS
・望遠カメラ:1/2インチ、12MP、7x〜56xズーム
・障害物検知:全方位ビジョンセンサー、機体底部に赤外線センサー
・ビーコン:標準搭載
DJI
解析用ソフトDJI TERRADJI
3Dモデル作成用パソコンAlienware M16DELL

ライセンス/損害保険

弊社が本事業を進めるにあたり取得したライセンスや加入した損害賠償保険です。

ライセンス国土交通省二等無人航空機操縦者:1名(目視外・昼間・25㎏以上資格)
損害賠償保険三井住友海上火災保険 身体障害:1億円/1名/1事故
財物損壊:5千万円/1事故
AIG損害保険事業総合賠償責任保険:1億円

最後に

このページでは、弊社がドローンに携わって行こうとする背景や現状の活用事例を、実際に飛行させてみた実地検証や飛行実演会への参加を通じて得られた印象を記載させて頂きました。

世界各社のドローン機体は、性能の向上と共に安全性の確保が益々進歩しており、多種業務で実際に活用できる日が近づいているように感じ楽しみにしております。